紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
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紀伊半島地域における地震などの様々なリスクを考える

はじめに
 紀伊半島は、気候温暖、自然が豊かで、しかも歴史遺産も多いすばらしい地域です。本ホームページでは、この地域の環境を保全し、地域社会の持続性を高めたいという思いで、さまざまな記事を掲載してきました。しかし、今回の東日本大震災の惨禍を知るにつけ、この地域においてもリスクへの関心をもっと深め、リスクを正しく認識し、対策を考えていかなくてはと思いました。

 この地域のリスクとは
 紀伊半島において、地域の持続性を危うくする事柄を考えるときに、まず、東海・東南海・南海地震、南海トラフ地震とそれに伴う大津波が挙げられ、また、地震、津波などにより原子力発電所が破壊・爆発した場合には、それに伴う放射能汚染が大きなリスクになると考えられます。その他に、巨大台風の襲来、地球温暖化、生態系悪化等の自然破壊のリスク、および国家や地方自治体の財政破綻、農林水産業という地域経済の衰退による農山漁村の高齢化・過疎化の進展とそれに伴う地域社会の崩壊、国際紛争に伴うわが国ないし地域への影響等による社会経済的混乱のリスクが考えられます。

 地震
 フィリピン海プレートが年々北西方向に移動し、ユーラシアプレートと衝突して、その下に沈み込んでいく場所が、駿河トラフから南海トラフへと続く長大な海溝であり、この沈み込みに伴って蓄積されるユーラシアプレートの(ひず)みエネルギーが、これを解消しようとして急激な地滑りを起こします。この地滑りが駿河トラフおよび南海トラフに沿って拡がり、海溝型の巨大地震となります。この時、大津波も発生します。また、大規模な海溝型地震の前後に、そのエネルギーが基になって、ユーラシアプレート上の内陸で活断層が破壊される内陸型地震が起こりますが、比較的地表に近いところで起こる直下型のためにその被害は大きくなります。紀伊半島地域においては、過去に伊賀上野地震(1854年マグニチュード7.3)、紀伊大和地震(1899年マグニチュード7.0)などの内陸型地震が発生しています。
 
 特に、巨大地震は今後30年以内に発生する確率が東海地震で87%、東南海地震で70%、南海地震で60%と高くなっています。これはフィリピン海プレートの移動に伴い、駿河トラフ、南海トラフに歪みが年々たまり、これまで100〜150年の間隔でその歪みがはじけて海溝型巨大地震が起きたという歴史的な事実を踏まえたものです。しかも、過去の事例では、明応地震、慶長地震、宝永地震についてはいずれも東海・東南海・南海地震がほぼ同時に発生しており(安政地震は、東海・東南海地震の翌日南海地震が発生)、今後、紀伊半島近くで海溝型地震が起こった場合には、関東から四国、九州に至る広大な地域が同時に被害を受けるために、救援や復興が極めて困難な状況となり、日本経済が破局的局面に向かう可能性があります。

 今回の東日本大震災を教訓に、リスクを過小評価することなく、人命尊重を重点に、避難と救援方法の想定と確保、物資輸送ルートの確保、被害を受けにくい地域への改造・整備、避難場所の特定、地域分散型エネルギー供給システムの構築などを急ぐ必要があります。震災対策を策定する場合には、バック・データの公表、リスクの正しい評価、地域住民の意見を行政に反映させる仕組みなどが大切です。
詳しい説明はこちらへ→(1)紀伊半島に大きな被害をもたらした歴史上の大地震と津波

 原発事故

 紀伊半島の近くで原発事故が起きた場合に、放射能汚染した居住地からの退避、農林水産業および製造業への影響、広範な周辺住民の健康被害など、多大な被害が発生することが、福島第一原発事故の被害状況から分かります。紀伊半島に近い原発としては、静岡県の浜岡原発5基(うち、2基は廃炉措置中)、福井県に14基(うち、1基廃炉措置中)、石川県に2基あります(紀伊半島地域に比較的近い原発リスト(PDF)参照)。福島第一原発からの放射性物質の空中拡散の様子を見ると、風向きと降雨の関係で原発から30kmを超える福島県飯館村などでも退避が必要なほどの放射能汚染がみられています。また、福島第一原発の水素爆発などで飛び散った放射性物質が、300kmを優に超える遠距離の、しかも「越すに越されぬ」箱根の山を容易に越えて、静岡の新茶で基準値を超えて検出されたことは、大方の予想を超える事態であったので、驚かれた方も多かったのではないかと思います。 このような原発による放射能汚染の実態から、紀伊半島地域のリクス管理の一環として、浜岡原発および福井県・石川両県の原発群を中心に、できるだけ正確な情報を得て、分かりやすく情報を読み解いていきたいと考えています。今回の事態を招いた「一部の専門家まかせ」、「お役所まかせ」、「電力会社の自己都合まかせ」といったことを反省し、誰もが原発問題を注視する社会を作っていく、その一員に加わりたいと思っています。そして、疑問や意見があれば、誰もがネット上に書き込んだり、新聞の投書欄に投稿したり、政治家や役所に意見を提出したり、デモに参加して意思表示をする必要があると思います。
Twitter:脱原発の意見を発信中
原発事故に関する驚くほど詳細で参考になるリンク集を見つけました−>こちら
当ホームページでの詳しい説明はこちらへ→(2)原発事故 
 台風
 自然災害としての重大なリスクは、伊勢湾台風のような強大な台風の襲来があります。台風の通過に伴い、沿海部の高潮・高波による浸水、河川の氾濫・洪水、山崩れなど大きな被害が生じます。伊勢湾台風の他にも歴史上大きな被害を出した台風がありますが、どこで、どのような被害を出したのかについて調べていきます。

 地球温暖化
 地震、台風の脅威ほど急激に起こりませんが、地球温暖化の影響が30年〜50年のスパンで、紀伊半島地域の自然と社会にじわじわと影響を及ぼしてきます。また、地球温暖化は、海水温度の上昇をもたらすために、台風が強大になりやすく、集中豪雨なども生じやすくなるといった影響が生じます。また、海面の上昇による浜辺生態系や防災への影響、農林水産業への影響など、その影響は広範です。これらの影響について正確な情報を調査して提供するとともに、地球温暖化防止のための温暖化ガス(CO2など)排出の削減、温暖化に伴う影響の緩和策等についても科学技術的知見に基づいて掲載していきます。
 自然環境の破壊と劣化
 過去においては、水俣病問題、四日市ぜんそく問題など、企業がたれ流し、排出する有害物質によって激しい公害が起こり、生命と健康に大きな被害が生じました。このような経験から近年においては、排出規制などの法規制が強化されたために、排出元が明らかな公害は減少しています。しかし、排出源が不特定で面的な広がりを持つような形の公害が問題となっています。
 海域においては、例えば、伊勢湾のような閉鎖海域において、海底のヘドロ化、海水の富栄養化と関係する「赤潮」と呼ばれるプランクトンの異常繁殖、貧酸素水塊の大規模な発生などが、漁業資源を減少させています。また、養殖が盛んに行われたことによって養殖場の富栄養化や海底のヘドロ化などの環境悪化により養殖魚貝類の死亡率の上昇などが起こっています。

 陸域においては、輸入木材の増加によって国産材が不振となったために、杉などの人工林の管理ができずに、台風の襲来により、根の張りが貧弱な樹木が倒れ、ダムや河川に流出したり、山の斜面表層の崩落が起きやすくなっています。また、外来生物が数多く侵入し、在来動物や植物が脅かされており、希少種の地域的な絶滅などが頻繁に起こっています。例えば、河川・湖沼においてはブラックバス等によって、在来魚が激減し、漁獲高が減少している場所があります。
 
 財政破綻
 紀伊半島地域にある市町村や県で財政的破綻(はたん)が起きた場合には、地方自治体による住民への通常のサービスが提供できなくなり、生活の不便、家計の経済的負担増加などによって、その地域は住みにくくなります。このような事態が生じると、その地域の社会的持続性が大きく損なわれ、住民の流出に拍車がかかることになります。地方自治体の経済的破綻の例をみると、採算の取れない観光施設や贅沢な建造物の建設、放漫な財政運営などがありますが、上記のような大きな自然災害に遭うことによっても財政破綻に陥ることが十分に想定されます。

 また、国の債務(国債、借入金、政府保証債務)残高は、2010年3月末時点で919兆円余となっています。このまま赤字国債の増発が続くと、国家財政がサラ金家計のように、収入よりも債務支払いの方が多くなり、財政破綻、日本の国債の格付け低下にともなう経済的混乱、社会保障の低下などが危惧されます。

 農林漁業(一次産業)等の衰退と農山漁村の疲弊
 さらに、農山漁村地域の経済的疲弊によって、この地域の雇用機会の喪失、少子高齢化による社会的機能の低下、過疎化などが進展します。これは農林水産業(一次産業)に活力がなくなったことが大きな原因です。農林水産物の輸入増加、これに伴う一次産品の価格低下、経営規模が小さく十分な所得を上げられないこと、所得の低さから新規参入が少ないこと、若年層・後継者の地域からの離脱などが挙げられます。現在、
EPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)など、国際な自由貿易協定締結の動きが急ピッチで進められており、農林水産業を取り巻く環境は一段と厳しいものになっています。一方では、一次産業と加工・販売の二次、三次産業とを結びつけて、農山漁村地域の活性化を図ろうとする施策が進められており、農山漁村地域を長期的にどのように立て直すかが大きな課題となっています。
 国際紛争の発生による輸入物資の供給困難等
 目を外に向けると、中東における紛争の拡大による石油、天然ガスの供給ストップ、価格高騰、尖閣諸島、西沙諸島、南沙諸島を巡る中国の挑発的行動と軍事衝突の懸念とこれに伴う物資輸送路の混乱、中国等との経済関係の破綻などが懸念されます。これらは、我が国経済および地域経済に大きな影響を及ぼすリスクであると考えられます。

 上記の諸問題について、科学的・歴史的な事実や、現状等についての情報を集め、対策を考えていきたいと思います。

(3)紀伊半島に大きな被害をもたらした歴史上の台風(今後、乞うご期待)

4)地球温暖化が紀伊半島に及ぼす影響(今後、乞うご期待)

(5)自治体の財政破綻(今後、乞うご期待)

(6)農山漁村地域の経済的社会的疲弊(今後、乞うご期待)
   (7)国際紛争による影響(今後、乞うご期待) 
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